路地裏の風景

公開日: 更新日:

新島港から都道を本村の中心に向かい進むと、右に東京電力の発電所が近づいてくる。

発電所を囲む塀には、いつの頃に行われたのか20センチ角のコーガ石の板に、さまざまな絵や文言、名前などを彫り込んだ石がタイル状に張りつけられている。一体、何百人がそれぞれの思いを彫り込んだものであろうか。

そんな塀を見ながら進むと、ガソリンスタンドの手前に右に入る道がある。何気なく入り込むと、幅が2メートルほどの道が東に延びていた。

両側に石塀が続く幅約2メートルの道

軽自動車でもギリギリ。かつては大八車が一台通れる道、ほどの幅員である。

両側は写真のようにコーガ石の石塀が続く。距離としては70メートルほどだろうか。東に進み、鍵の手に右に曲がる道の突き当たりは石垣積み。左右は屋敷地で、道境はコーガ石の石塀が続く。

突き当たりは石垣積み

二重菱形を彫り込んだ石塀や、2寸・3寸厚の石を積んだだけの塀のほか、納屋と思われる建物が道境に建てられ、石塀代わりとなっている。

南側の屋敷地は、道から3尺ほど下がった位置に庭がある。冬期に吹く、強い西風を防ぐために屋敷全体が道より下に構築されている。一方、北側の屋敷地は低い石塀があり、隣地境は松の並木が続く。

僅かな範囲であるが、ちょっと入り込んだ古い道は、コーガ石の町並みが凝縮した、時間を超越した街角である。