新島固有の建物である釜屋形の中でも、数少なくなった別棟式の釜屋形です。
解説
釜屋形とはちょっと耳に馴染みのない言葉ですが、『建築大辞典 第2版』にも「伊豆新島の民家において炊事用空間」として項目が立てられている、れっきとした新島固有の建造物です。
新島でもかつては木造茅葺きの建物が多くありましたが、明治時代に複数回の大火に見舞われたことから、コーガ石造の建物が建てられるようになりました。その中で釜屋形は、風呂や竈など火を使う設備をコーガ石造の建物で覆うことで火を出さないようにする、という役割がありました。
この釜屋形の内部には、北側に風呂と洗い場が、東側に竈が作られていて、それぞれから煙突が伸びています。
建築当初は、トグチと呼ばれる部屋を介して東側に建つ主屋(オーヤ)と繋がっていました。その後、1969(昭和44)年にオーヤを改築した際にオーヤと繋がっていた開口部がふさがれ、今のような別棟になりました。ここにあるような別棟式の釜屋形は現存数が少なく貴重な建物と言えます。
概要
- 所在地
- 新島村本村一丁目1番3号
- 構造
- 石造平屋建 切妻造り石葺
- 規模
- 8.4平方メートル
- 建築面積
- 大正時代前期(推定)
- 登録年月日
- 2024(令和6)年3月6日